CAMEL(キャメル)の伊豆熱川BASEを読み解く:10号と、同じ物件で”10倍規模”の29号の比較

CAMEL(伊豆熱川BASE)

伊豆熱川BASEは、不動産クラウドファンディングCAMEL(キャメル)の10号ファンドと29号ファンドの舞台となる物件です。
10号はすでに予定を繰り上げて償還済みですが、公式資料を丁寧に追うと、2つのファンドの関係性にはいくつか気になるポイントが見えてきます。

この記事では、

  • なぜ同じ物件で別ファンドが組成されたのか
  • 10号の早期償還と29号の大規模ファンドの関係

を公式資料や登記情報をもとに整理しながら読み解いていきます。

この記事のポイント

  • 同一物件で連続してファンドが組成されている
  • 償還済み10号ファンドの進捗と結果は公式情報では確認できない
  • 29号ファンドは規模が10倍
目次

公式情報を読み解く

CAMEL10号・29号ファンドの舞台:伊豆熱川BASE

両ファンドともに物件の基本情報は以下の通りです。

物件情報(共通)
  • 所在地:静岡県賀茂郡東伊豆町奈良本字中ノ山1213番地80
  • 物件名称:伊豆熱川BASE
  • 土地:490㎡
  • 建物:居宅/木造瓦葺2階建(1階171.75㎡/2階156.84㎡)

なお、物件竣工日については、以下の通り差分がありました。

  • 10号 1992年12月20日
  • 29号 2026年6月1日

CAMEL10号・29号ファンド差分比較

スクロールできます
項目10号 伊豆熱川BASE29号 伊豆熱川LOCAプロジェクト
募集金額32,000,000330,000,000
想定利回り年間換算9.0%年間換算7.8%
募集期間2024-04-13~2024-06-122025-01-17~2025-04-30
契約期間2024-06-26~2026-05-31
繰上償還:2025-03-04)
2025-05-13~2028-05-31
配当予定初回2024-09-30(年4回)初回2025-09-30(年4回)

29号は、10号の約10倍の規模です

CAMEL10号・29号ファンド概要説明の違い

10号の要点

  • 古民家をフルリノベーション
  • 民泊施設として再生するプロジェクト
    →シンプルな再生型ファンド

10号ファンドプロジェクト概要説明(公式引用)

眼下に相模湾・伊豆諸島を望む眺望!温泉・サウナ付別荘 本ファンドは、株式会社グローバルクラウドエステートの CAMEL10 号 ファンドとして、静岡県賀茂郡東伊豆町の標高 600m の高台に佇む、眼下に雄大 な相模湾の大海原が広がり、伊豆諸島を一望できる古民家をフルリノベーションして、再生する民泊施設を投資対象に運用を行うプロジェクトです。

29号の要点

  • LOCA THE CLASSブランドとコラボレーション
  • マグマスパ式サウナ・プライベートジム導入
    →ラグジュアリー路線を強調

29号ファンドプロジェクト概要説明(公式引用)

眼下に相模湾・伊豆諸島を望む眺望!温泉・サウナ付別荘 本ファンドは、株式会社グローバルクラウドエステートの CAMEL29 号 ファンドとして、静岡県賀茂郡東伊豆町の標高 600m の高台に佇む、眼下に雄大な相模湾の大海原が広がり、伊豆諸島を一望できる古民家を再生し、最上級のサウナ体験とラグジュアリー空間 「LOCA THE CLASS」ブランドヴィラとコラボレーションし、近隣施設にはないマグマスパ式サウナやプライベートジムなどのラグジュアリーな宿泊体験をご提供する施設を投資対象に運用を行うプロジェクトです。

おなじ古民家が、29号では突然「LOCAとの豪華コラボ」に進化した形になります。

ただし、慎重に読み解くなら、この「LOCA THE CLASSとのコラボレーション」は、
実際にはキャンペーンで展開されている“豪華特典”としてのコラボレーションを指しているだけで、
物件そのものの再生後に導入されるサウナやプライベートジムといった設備がLOCAの監修・運営によるものなのかは、説明文からは判断がつきません。

また、物件概要や説明スライドの一部には、依然として「北欧式サウナ」の記載が残っており、これが改稿漏れなのか、あるいはLOCAとは別に計画されている設備なのかも読み取りにくい状況です。

結果として、コラボレーションの範囲や実態については、説明だけでは判断が難しく、投資家としては慎重な解釈が求められると言えるでしょう。

※上記は、概要説明とスライド間での表記の揺らぎ、接続詞の使い方、文章の区切りの点から、読み方によって解釈が変わる可能性があることを示唆する筆者の見解です。LOCAの施設や設備への関与を否定・肯定するものではありません。

土地・建物登記で見る所有権の移転状況

土地登記、建物登記を取得して見ると、相続人不在の土地建物に対し、一時的に別の権利者が登場しましたが、関連会社の株式会社RayofWaterが取得し、直後に株式会社グローバルクラウドエステートに移転されていることがわかります。

2024年5月14日 所有権移転

原因:2024年5月14日売買(2024年5月14日登記受付)
所有者 東京都港区芝浦四丁目16番13号 株式会社RayofWater
会社法人番号 0104-01-143044

2024年5月22日 所有権移転

原因:2024年5月22日売買(2025年2月4日登記受付)
所有者 神奈川県川崎市川崎区小川町7番地4 株式会社グローバルクラウドエステート
会社法人番号 0100-01-144514

なお、2025年11月16日取得の建物登記には、上記以降の移転記録はありません

ここで登場するRayofWaterは、グローバルクラウドエステートの代表取締役である河野氏が代表を務める会社という関係があります。

時系列の再整理

  • 2024-04-13 10号募集開始
  • 2024-05-14 RayofWaterが物件を取得
  • 2024-05-22 グローバルクラウドエステートに所有権移転(登記反映は2025-02-04)
  • 2024-06-26 10号運用開始(~2026-05-31予定)
  • 2025-01-17 29号募集開始
  • 2025-03-04 10号繰上償還
  • 2025-05-13 29号運用開始

→29号の募集が開始した後、10号が繰り上げ償還。その後に大規模な29号が始まるという流れになります。

10号と29号のつながり:好意的解釈と懸念

もし、業者側に極めて好意的な解釈をするなら――。

  • 10号で小規模に運用して実績を作り
  • 外部ブランド(LOCA THE CLASS)を呼び込み、
  • よりスケールした本格プロジェクトへと発展させた

ただし、10号と29号の間をつなぐ説明は公式情報では確認できず、さらにLOCAブランドの関与度や役割についても、資料内の記述に統一性がありません。
そのため、これらがどのような関係で次のファンドへ発展したのかを読み取るのは難しいのが実情です。

一方で、投資家として懸念される点は

  • 10号は「どこまで再生が進んだのか」
  • 10号は「成功としての終了」なのか、「プロジェクト切り替え」なのか
  • 償還原資は何だったのか
  • LOCAブランドは具体的にどこまで関与しているのか。
  • そして、29号が”10倍規模”になる妥当性はどこにあるのか。

前回ファンドの結末と、次の大型計画との因果関係、金額の妥当性は公開情報だけでは把握しづらいです。

こうした背景が明示されないまま、

”前提の欠けたストーリー”を頭のなかで補完し、つながっている”はず”として物語を自分で作ってしまう。

ということがあれば、なおさら注意が必要です。

もし、そこに添えられた重要な書類に、その肝心な部分が記載されていないとすれば、そこには、3.3億円の古民家が、ただ静かに佇んでいるだけに見える瞬間さえあります。

これは、投資判断において、決して小さくない不透明性と言えるでしょう。

結び ――語られない物語

  • 同一物件で10号と29号の連続したファンドが組成された。
  • 10号償還の裏にある進捗や結果について、公式情報から読み取れる部分は限られている。
  • 29号ファンドは「LOCAブランド」の関与度が読み取りづらい。10倍規模への妥当性判断も難しい。

10号ファンドは、繰上げ償還が大きくアピールされ、投資家は利回りを受け取ったのでしょう。
しかし、どこまで再生が進み、どういう経緯で繰上げに至ったのか――その中身は、公式情報には示されていません。

2026年6月。
本当に、LOCAブランドをまとったラグジュアリー施設が竣工するのか。
2028年の満期に胸を張って結果が語られるのか。
あるいは、また「成功のように見える償還」だけが積み重なっていくのか、それとも別の結末がまっているのか――今はまだ誰にもわかりません。

ただ、一つだけ確かなのは、

見せられた”償還実績”だけで、次のファンドまで安心してしまうのは危ういということです。

確かに、償還は喜ばしい結果です。
しかし、同じ物件の前後の運用プロセスさえ語られず、10倍規模への妥当性も公に説明がないままでは、その償還実績を”次回への信用”と読み替える理由には足りません。

不十分な情報のまま、竣工の未来を頭のなかで補完し、それを確信に変えてしまったとき、あなたの隣にはそっと「リスク」という影が寄り添い始めるのです。


キャンペーンで得た高級サウナの”癒し”が、悔しさや不安を洗い流すための”涙”へと変わらないように。

華やかなパンフレットの向こう側にある、
「どこからきて、どこへ向かうのか」
その道筋を、自分の目で確かめていくしかありません。

その姿勢こそが、クラウドファンディング投資が抱える、空白の”意図”を見抜き、自分の資産を守る唯一の武器なのだと思います。

賑やかな償還告知の”裏に残る説明されない空白”
それは、CAMELだけに限った話ではありません。

語られない物語――。
目に見える舞台の裏側で、何かが着実に積み重なり、
気づいたときには、あなたもその物語の一部になっているかもしれない。


※本稿は公開情報をもとに構成したものであり、特定の企業や個人の不正を断定・指摘するものではありません。
あくまで情報開示の在り方と、投資家が抱く疑問に焦点をあてた考察です。


語られない物語――
空白を埋める幻を捨て去り
確かな足跡を辿るとき
隠された真実が、そっとサクラサク

SAKSUC
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この記事を書いた人

投資歴はおよそ10年ですが、最初は利回りやトレンドを追う程度でした。
本格的に調べ、試行錯誤を重ねるようになったのはここ数年です。
初心を忘れず等身大の経験を共有することで、投資や社会問題に悩む人の参考になればと思っています。

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