このたびの能登半島地震、豪雨で被害にあわれた方々に、心よりお見舞い申し上げます。
この記事では、能登半島を事業地としたクラウドバンク P社風力発電ファンドの償還遅延について、公式情報や航空写真をもとに整理し、現地の工事進捗や情報公開の実態を検証します。
遅延ファンド概要
- 資金使途:風力発電事業の開発資金・運転資金等
- 遅延ファンド数:5件
- 影響総額:7.8億円
- 運用ステータス:償還遅延中
- 最終債権取得日:2023-11-17
- 運用終了予定日:2024-10-07
- 遅延通知日※:2024-09-27
※遅延通知日は公式サイトのお知らせの最早日を記載しています。
融資と災害の時系列
クラウドバンクP社の風力発電ファンドの運用期間中、能登半島では大規模な災害が続きました。災害とファンド運用の時系列は以下の通りです。
- 2023-10-31 5.45億円(P社ファンド)
- 2023-11-17 2.35億円(P社ファンド)
- 2024-01-01 令和6年能登半島地震発生
- 2024-09-21~23 令和6年能登半島豪雨発生
- 2024-09-27 償還遅延発生
豪雨直後には償還遅延の発表がありましたが、地震直後には運営者からの情報提供がほとんどなかったことは、投資家の立場からも疑問が残るところです。
遅延ファンド一覧
クラウドバンクは同一案件で複数のファンドを組成しています。遅延確定時点のファンド毎の債権金額、取得日等情報は以下の表を展開してご確認ください。
P社の償還遅延ファンドデータ
| ファンド名 | 目標利回り(%) | 債権金額(千円) | 債権取得日 | 運用終了予定日 |
|---|---|---|---|---|
| 風力発電ファンド第265号 | 5.2 | 117,500 | 2023-11-17 | 2024-10-07 |
| 風力発電ファンド第264号 | 5.2 | 117,500 | 2023-11-17 | 2024-10-17 |
| 風力発電ファンド第262号 | 5.2 | 95,000 | 2023-10-31 | 2024-10-17 |
| 風力発電ファンド第261号 | 5.2 | 225,000 | 2023-10-31 | 2024-10-17 |
| 風力発電ファンド第260号 | 5.2 | 225,000 | 2023-10-31 | 2024-10-17 |
工事進捗についての考察
事業地周辺の航空写真
次の画像は、能登半島地震直後の風力発電事業用地周辺の航空写真です。
左:能登半島地震直後、右:能登豪雨直後
豪雨後の写真では、東側に大規模な土砂災害の状況が確認できます。一方で、事業地周辺には風力発電所の建設や整地の痕跡がほとんど見られませんでした。
このことから、着工が行われていたかどうかは依然として不透明であり、投資家としては工事進捗や資金の使途について疑問が残る状況です。

出典:航空写真は、国土地理院ウェブサイトから引用し加工したものです。
・令和6年(2024年)能登半島地震に関する情報
・令和6年(2024年)9月20日からの大雨に関する情報
FIT申請状況からみる工事進捗
- 当該ファンドは2019年度にFIT(再生可能エネルギーの電気を一定価格で買い取る制度)の認定を取得し、19円/kWh(税別)の調達単価が設定されていました。
- しかし2025年10月時点では、当該案件はFIT認定一覧から削除され、認定は失効しています。
クラウドバンクの公式コメントでは以下の通りです。
「本件風力発電事業に関しましては、能登半島における激震災害を踏まえて認定された調達単価の失効期限の延長措置等を中部経済産業局に提起いたしましたが、現状において被災等を理由とした例外規定がない等との回答があり、当初の認定された調達単価が失効いたしました。」
FIT制度は2022年4月の法改正により、認定取得から3年以内に系統連系工事の着工申込を行わなければ認定が失効するルールが設けられています。今回のファンドは運用終了予定が2024年10月でしたが、豪雨災害はファンド終了の前月であったにもかかわらず、この申込すら行われていなかったことになります。
通常、系統連携工事申込は現地工事の初期段階で行われます。これを踏まえると、運用終了間際の災害にもかかわらず、当該ファンドにおける工事は実質的に進んでいなかったと推測されるのが自然と言えるでしょう。
現状整理と今後への提言
クラウドバンクのP社風力発電ファンドについては、能登半島地震や豪雨といった大規模災害が連続して発生したにもかかわらず、災害時の情報開示や工事進捗、資金使途について依然として不透明感が残っている状況です。多くの投資家からの資金を預かる事業者として、これまでの工事の進捗状況や資金の使途を、できるだけ早く公式に明らかにすることが求められます。
さらに、投資家の資金が長期間にわたり拘束されている現状においては、単に「現地が確認できません」と報告するだけでは十分とは言えません。今後の事業の方向性や対応方針を明確に示し、投資家が安心できる情報提供を行うことが必要です。
投資家としても、情報公開の有無や透明性を見極め、事業者に適切な説明を求めることは当然の権利です。クラウドバンクのP社風力発電ファンドに関しても、早期の情報開示と今後の運営方針の提示が一刻も早く行われることを期待したいところです。
無言の風がまわりを包んでも
風に揺れぬ石を心に
声を重ね問い続けよう
見えぬ事実がサクラサクーーその日まで🌸
SAKSUC
