2023年にサービスを開始し、募集額を拡大し続ける不動産クラウドファンディングCAMEL(キャメル)。
その中でも、償還済みファンド「CAME8号 六本木エクソソームサロンNippori」には、公式情報を丁寧に読み解いていくと、ひとつの「小さな違和感」が残ります。
本稿では、公開情報と登記・会社情報をもとに、ファンドの投資対象・関係会社の構造を整理し、なぜその違和感が生じるのかを考えます。
この記事のポイント
- 運営会社と投資対象の「実質的なつながり」。
- 契約構造の複雑さと不透明な資金の流れ。
- 早期償還済、運営実態は不透明。その先に狙うものは
公式情報を読み解く
CAMEL8号ファンド:六本木エクソソームサロン Nippori
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 応募金額 | 23,000,000円 |
| 想定配分率 | 9.00% |
| 物件所在地 | 東京都荒川区東日暮里5-52-10 |
| 物件名称 | 六本木エクソソームサロン Nippori |
| 募集期間 | 2024-02-15~2024-06-14 |
| 契約期間 | 2024-06-28~2026-04-27 |
| 償還実績 | 2025-10-03 |
概要説明(公式引用)
トレンドの再生医療 「六本木エクソソームサロン Nippori」が日暮里にオープン! この商品は、CAMEL8号ファンドとして、株式会社ウロサポートと株式会社グローバルクラウドエステートが、定期建物賃貸借契約書を締結し、インバウンド医療ツーリズムの送客と、美容サロンの運営に特化した一般社団法人陽だまりクリニックが提携先クリニックとしてサポートを図るために転貸借契約を結んだ、「六本木エクソソームサロン Nippori」を投資対象に運用を行うものです。
一文が長く複雑で、内容の革新がつかみにくい。
分解すると次の三層構造が見えてきます。
- 株式会社グローバルクラウドエステート(CAMEL運営会社)
→株式会社ウロサポートが定期建物賃貸借契約 - 株式会社ウロサポート
→一般社団法人陽だまりクリニックに転貸借契約 - 一般社団法人陽だまりクリニック
→六本木エクソソームサロンNipporiを運営
ここでは、六本木エクソソームサロンNipporiを巡って、「株式会社グローバルクラウドエステート」と「一般社団法人 陽だまりクリニック」に関係性が生まれているという点に注目してください。
株式会社グローバルクラウドエステート
- 所在地:神奈川県川崎市川崎区小川町7番地4 アービラ川崎3階
- 役員:
- 代表取締役:河野勇樹
- 取締役:和泉圭城
- 監査役 弁護士:小野聡
- 社外取締役 弁護士:木谷倫之
- 社外取締役 弁護士:伊藤祐介
- 社外取締役:福田徹
- 事業内容:不動産特定共同事業、不動産売買・賃貸・管理・仲介、経営コンサルティング
- 免許:宅地建物取引業 神奈川県知事(1)第31829号、不動産特定共同事業許可(電子募集取引)神奈川県知事第18号
不動産クラウドファンディング「CAMEL」を運営する中核企業です。
ここで注目したいのは、代表取締役 河野勇樹氏 の存在。
この人物が次に登場する「RayofWater」「陽だまりクリニック」にも関係していきます
株式会社RayofWater ――見えない”親会社”の存在
公式ファンド情報には一切出てきませんが、
「一般社団法人 陽だまりクリニック」を追うと、その親会社に株式会社RayofWaterという企業が存在します。
株式会社RayofWater
- 代表:河野勇樹(グローバルクラウドエステートと同一名)
- 事業内容:医療関連サービスの企画・運営
- 子会社:一般社団法人陽だまりクリニック
この事実から、CAMELの運営者である河野氏が、自身の関連会社を通じて出資対象に関与している構図が浮かび上がります。
※公式サイトには2025年11月時点で「2023年8月31日予定」の記載があるため法務局の登記情報と照合しました。
六本木エクソソームサロン Nipporiの実態
ファンドの対象である「六本木エクソソームサロンNippori」は、
公式ページ以外では、ほとんど情報が見当たりません。
唯一確認できたのは、類似名をもつ次のサイトでした。
陽だまりクリニック 日暮里エクソソーム
・店名:陽だまりクリニック 日暮里エクソソーム
・住所:〒116-0014 東京都荒川区東日暮里5-45-1
ただし、住所はファンド記載と異なり、連絡先や予約フォームも確認できません。
「サロン運営」という説明とは裏腹に、集客・予約・サービス提供の形跡がほぼないのが実情です。
運営主体とされている、一般社団法人陽だまりクリニックの登記情報は次の記事で確認ください。
浮かび上がる構造は
ここまでの情報を整理すると、以下の構造が見えてきます。
- 投資家資金(2300万円)
↓ - CAMEL運営会社(グローバルクラウドエステート)
↓ - ウロサポート(転貸業者)
↓ - 陽だまりクリニック(実質、グループ内子会社)
↓ - サロン「六本木エクソソームNippori」(実態不明)
この流れを見れば、投資資金がグループ内部で循環しているようにも見えます。
つまり、河野勇樹氏が運営するCAMELが、河野勇樹氏の関連会社の事業を“投資対象”に見せている構図です。
なぜ違和感がのこるのか
- ファンドの賃貸契約・転貸契約の相手方が、すべて関連企業で構成されている
- 投資資金の使途が不明
- 運営サロンの事業実態が確認できない
- にもかかわらず、「早期償還(予定より1年以上早い)」が実現している
表面上は“成功ファンド”ですが、その裏に見えるのは「償還実績の積み上げ」を狙った構造の可能性です。
実際、賃貸転貸だけで年9%の配当を出すのは極めて非現実的。
その利益がどこから出たのか、誰も説明していません。
結び ――つくられた信頼の先に
- 運営会社と投資対象がつながり、グループ内部で資金が循環していた可能性。
- 複雑に入り組んだ契約構造と、読み取りづらい資金の流れ。
- そして、早期償還という“美しい実績”の裏に残る、静かな違和感。
ファンドは静かに償還され、投資家は利回りを受け取ったのでしょう。
しかし、その裏にどのような取引が行われ、サロンは本当に稼働していたのか――。
それらの答えは、いまも公式には示されていません。
透明性のない実績は、信頼の上に積み上がるものではなく、「信頼を演出するための実績」としてつくられる。
それが次なる資金調達の土台となるなら、その先にあるのは、――本当に健全な拡大なのか、あるいは巧妙に演出された成長の可能性なのか――。
行政の許認可や登録番号が存在しても、このような構造に即座に法的な介入が及ぶことはほとんどありません。
だからこそ、投資家自身が「何が透明で、なにがみえないのか」を見極める力が問われます。
そして、牛肉の味をかみしめるとき、あのとき投資した200万円のA5牛肉の味を思い出して、ちょっと胸が熱くなる――。そんな未来を迎えずに済むよう、私たちは今日も、投資先の透明性をしっかり見極めていきたいものです。
不動産クラウドファンディングの健全な発展のために――
私たちは、派手な利回りよりも、このような「静かな違和感」にこそ、耳を澄まし、一つひとつの構造を冷静に見つめていく必要があるのではないでしょうか。
※本稿は公開情報をもとに構成したものであり、特定の企業や個人の不正を断定・指摘するものではありません。
あくまで情報開示のあり方と、投資家が抱く「違和感」に焦点をあてた考察です。
噛みしめたのは、虚構の味か
手にしたのは、幻想のかけらか
静かに蠢く、つくられた信頼を知り
芽吹いたこころに、サクラサク――
SAKSUC
