クラウドバンクの乱立する金地金ファンドを追う――黄金の輝きは、真実か、錬金術か

クラウドバンクの金地金ファンドは、最初の募集開始時点(2025年9月)から、いまや80号を超えるまで乱立している。投資家の目に映る黄金の輝き―ー安全資産といわれる金地金を前面に押し出す魅惑の光。その輝きの向こうには一体何が潜んでいるのか

金という安心の象徴を担保に集める資金は、霞かかった融資先へと静かに流れていく。この輝きは、真実なのか、それとも怪しい輝きを秘めた錬金術の幻影かー。本稿では金地金ファンドの行方を追っていきます。

目次

金地金ファンド全体像

クラウドバンクの金地金ファンドの全体像です。ファンド募集については、本稿執筆時点で83号まで募集が出ています。公開情報を細かく追っていくと、次のような状況が伺えます。

金地金ファンドの全体像(2025-10-25時点)

  • 募集総数:83号まで
  • 運用中金額:6.58億円
  • 12号~22号:予定より早期償還
  • 55号以降:募集進行中(約10億円)
スクロールできます
ファンド番号利回り運用期間応募総額運用開始日運用終了日状況
1~11号ページ誤記・全額償還
12~22号5.8%4か月約5.18億円2025-09-092025-10-06償還済み
23~32号6.0%5ヶ月約4.15億円2025-09-26運用中
33~42号欠番
43~49号5.9%5ヶ月約2.43億円2025-10-03運用中
50~54号欠番
55~57※15.0%3ヶ月約1.5億円※1運用開始前
67~83※17.0%5ヶ月約8.5億円※1運用開始前

※1 募集が進んでいる段階なので変動する可能性があります。

利回りが7.0%の募集も登場し、ファンドの応募総額にも勢いが増しています。
金地金ファンドは、いまクラウドバンクにおいて注目度が急上昇しているファンドです。

クラウドバンクと金地金

クラウドバンクへの投資を検討している方なら、投資メニューに「金積立」があることをご存じかもしれません。さらに、グループの親会社であるUNBANKEDは、長年金地金を扱うだけでなく、デジタル技術を活かした新しいサービスも展開しています。

UNBANKEDの強みには次のような点があります。

  • 長年の金地金取引の実績があり、現物資産の取り扱いに豊富な経験を持つ
  • デジタル技術を活用した「UNBゴールド」や「ゴールドトークン」などの新サービスを展開
  • 従来の金融取引をWeb3時代の新しい形に昇華させていく理念を掲げる

投資家としては、現物資産の安心感、長年の経験に裏付けされたプロによる管理体制、そしてその利益は、先進的なサービスから得られる可能性――どれも魅力的に映るのは無理もありません。
金地金のプロが扱う以上、失敗は考えにくい、償還遅延などあれば会社の信頼が揺らぐはず、だから大丈夫だ
――そういった思い込みが先行してしまうのも無理はないかもしれません。

しかし、ここで立ち止まって考えることが必要です。自分の目でしっかりと、利益とリスクのバランスを現実的に評価すること。黄金の輝きに目を奪われるだけではなく、目の前に示された情報とそこにひそかに潜む運営の意図を見極める。――これこそ、投資家の生きる術です。

金地金ファンドのチェックポイント

必要な情報をわかりやすく伝えること――これは、単なるファンドの説明ではなく、事業者としての誠実さの証でもあります。ここでは、会員限定情報などの詳細は書けませんが、投資家として確認すべきポイントをお伝えします。

担保評価額の記載をしっかり確認しよう

金は頻繁に取引される資産。毎日取引されて価格が変わります。その価値をどう表現するかで事業者の誠実さが見えてきます。確認ポイントはたったの3つ

  • 重さ(g単位)
  • 基準価格(1gあたりの金額)
  • 総額(時価換算で)

例えば、「田中貴金属の〇月〇日付の店頭買取価格を基準に、1gあたり2万円の金を20kgを担保とし、総額は4億円と評価している」というような記載、現物の金が担保であれば無理なく提示できる情報です。グループ親会社のUNBANKEDの公表数値を使用してもいいでしょう。万が一、明確な書き方ができるものをあえて曖昧にしているとしたら――そこには何か裏が隠されていると疑うのは自然なことです。

投資家として、数字の根拠情報をしっかり確認しましょう。

担保評価額に対する融資割合はどうか

リスクを見極めるには、融資額と担保評価額のバランスを確認することが重要です。金がいくらあろうと、融資が担保を超えて膨らんでしまえば、安心はただの幻想に変わります。
ポイントはシンプルです。

  • 融資額÷担保評価額=融資価値比率(LV:Loan to Value)
    • この割合が極端に高い場合、価値の安全マージンが小さくなる
    • 低すぎると、融資効率は悪いが安全性は高い

もし仮に、担保評価額に対し100%まで融資していたとしたら、現実的ではありません。金の価格は日々変動し、売買手数料や管理費もかかります。万一の返済遅延や回収リスクをカバーできる安全マージンが必要です。
金の値動きは激しいときもあります。価格が多少下がっても、担保で十分に回収できる安全マージンが確保されているか、数字の裏側までしっかりと確認しましょう。

担保の確保時期はいつか

金地金は現物資産。数字上の担保額がいくら大きくても、担保が現実に押さえられるタイミングが遅ければ、安心は幻想にすぎません。投資家が注目すべきは、いつ、どの段階で担保が確実に管理下に置かれるのかです。

  • 契約直後に担保として押さえられているか
  • 管理体制は万全か

タイミングの不透明さは、リスクの種になります。万が一、将来確保する予定となっていれば、その期間は担保がない状態で運用することになります。
投資家として、担保が現物として確実に存在し、安全に管理される仕組みが整備されているか、意識しましょう。

融資先の資産状況はどうか

金は紛れもない現物資産です。融資先が本当に保有していれば、財務諸表に反映されるはずです。もし、担保として提示されている評価額と融資先の総資産を見比べて違和感があれば、注意が必要です。

  • 融資先が本当にその金を保有しているか
  • 総資産の規模と担保評価額に整合性はあるか
  • 融資先の返済能力は現実的か

※融資先の名称が公表されている場合は、公式ウェブサイトなどでの確認も有効です。

もし仮に、現実の資産規模と担保評価額に大きな乖離があったとすれば、その金地金は一体どこから来るのか――。ファンド募集の枠組みの中で確実に存在するのは、融資先が差し出す担保と、投資家から集めた資金だけです。

黄金の輝きは、時に怪しい光を帯びて見えることもあります。表面上の担保額や魅力に惑わされず、数字と実態の整合性を自分の目で確認すること――これこそ、投資家が黄金の輝きを味方につけるために必要な姿勢です。

黄金の輝きに見え隠れする錬金術は

事業内容とリスクをしっかり見定めよう

金地金ファンドは、募集情報の記載では「事業運転資金」として募集されています。通常であれば、貸し付けた資金をもとに融資先が事業を進め、その利益から分配金を得て、運用期間終了後は元本の返済を受けることになります。万が一、利払いや元本返済が不能となった場合は、担保としている金地金を売却して投資家に返済することが期待されます。担保が十分に設定されていれば、投資家のリスクは低く見えるでしょう。

しかし、これまで確認してきたチェックポイントが崩れていたとしたらどうなるでしょうか。

  • 担保価値が不十分で、安全マージンが確保されていなかった場合
  • 担保が確保される時期が遅れ、その間は無担保状態で運用される場合
  • 融資先に担保分の資産が存在しない場合

リスクをしっかりと再認識してください。

そしてさらには、この条件がそろったとき、ひとつの仮説として、「巷で噂される錬金術的な構造」を考えてみます。

仮説:投資家から集めた資金で金地金を購入していた場合

  • 購入時点の評価額は募集時には書けない
    投資家に提示する募集条件としては、金購入前の評価額をそのまま書くことはできません。
  • 担保譲渡権の設定は融資実行後かつ金購入後
    つまり、投資家から資金が集まった時点では、担保はまだ存在せず、譲渡権も設定されていません。
  • 融資先に資産がなくても担保が生まれる構造
    資金が集まって初めて金を購入し、担保として譲渡されます。

集めた資金で金地金を購入しているという仮説は、奇妙なほどこの構造と一致します。この過程は、資金の流れを巧みに使った「錬金術」のように見えるのです。

もし金が大幅に値上がりした場合、その利益を享受するのは融資先でしょう。一方、金の売買手数料や管理費は、どの主体が享受するのでしょうか――。

そして、最も問題となるのは、金が値下がりをした場合のリスクです。これは投資家が全て負うことになります。

投資はリスクとリターンのバランスを見極めることが重要ですが、この仮説が成り立つ場合に、この構造によるリスクとリターンのバランスは投資家にとって本当に健全といえるでしょうか。

情報が不透明であったり、公開情報が限られている状況では、こうした仮説ですら現実味を帯びてきます。
――あくまで、仮説にすぎません。特定の対象を怪しいと断じるものではありません。

まとめ

あなたが丹念に見極めた黄金が、なおも揺るぎない輝きを放っているのなら――その信念に基づいて投資することも、立派な判断です。
一方で、その輝きの奥にわずかな曇りを感じたなら、迷わず一歩引いて、冷静に見直す勇気もまた、成熟した投資家の証です。そして、不透明なファンドに一票を投じない姿勢こそ、この業界を健全に保つ原動力となります。

いくらデジタルを駆使し、Web3時代の新しい形をまとっていようと、その中心に「投資家」が据えられていないなら――それは、洗練された“集金システム”に過ぎないかもしれません。

投資とは、リターンを追う行為であると同時に、「見抜く力」を磨く営みでもあります。
数字の裏にある意図を読み解き、光と影の両方を見つめたとき、あなたの資産は初めて真に“守られる”のです。

――あなたの資産が、まやかしではなく、真実の光で輝き続けますように。


まばゆい光に惑わされず
手にした石を信じて磨く
その先に見える黄金の輝きを
きっとあなたに、サクラサク🌸

SAKSUC
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この記事を書いた人

投資歴はおよそ10年ですが、最初は利回りやトレンドを追う程度でした。
本格的に調べ、試行錯誤を重ねるようになったのはここ数年です。
初心を忘れず等身大の経験を共有することで、投資や社会問題に悩む人の参考になればと思っています。

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