複数の償還遅延ファンドに見るクラウドバンクの段階的融資構造に潜むものとは?

クラウドバンクの段階的融資と遅延直前の動きを分析した記事のアイキャッチ

償還遅延総額が 100億円 にのぼるソーシャルレンディング大手サービスの一つ、クラウドバンク。その複数の償還遅延ファンドに共通して見られる 「段階的融資構造」 には、いったい何が潜んでいるのでしょうか。

本記事では、DD社・DR社の融資時系列データをもとに、クラウドバンクの遅延ファンドに共通して見られるパターンを分析します。

目次

段階的融資とは

ここでいう段階的融資とは、一度に全額を融資するのではなく、事業の進捗に合わせて資金を供給することをいいます。本来は企業側にも投資家にもメリットがある仕組みです。

  • 企業側からみると:事業進捗に併せて柔軟に資金を受け取れる
  • 投資家からみると:一度に全額を投入せず、モニタリングしながら資金を共有しリスク管理ができる。

しかし、クラウドバンクの償還遅延ファンドのデータを並べてみると、通常のメリットとは異なる違和感 が見えてきます。複数のファンドで、追加融資直後に遅延が発生しているのです。

段階的融資の時系列データと共通点

ここでは、クラウドバンクの複数の遅延ファンドに共通して見られる「段階的融資」の実態を、DD社・DR社のデータから確認していきます。両者とも、初回融資の後に小口の追加融資を繰り返し、終盤に他ファンドからの融資を受けて直後に遅延という共通パターンが浮かび上がります。

DD社ファンド:段階的融資時系列

DD社の太陽光発電ファンドでは、大きな初回融資の後、数か月にわたり小口の追加融資が行われています。さらに終盤では、DD社以外のファンドから資金を回す形で融資が行われ、その後遅延に至っています。詳細な債権取得状況や時系列の分析は、DD社ファンドの個別記事で詳しく解説しています。

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ファンド募集月各月の融資額募集の種類
2024年10月約33.65億円DD社ファンド
2024年11月1.65億円DD社ファンド
2024年12月5.80億円DD社ファンド
2025年01月0.86億円DD社ファンド
2025年02月0.37億円DD社ファンド
2025年03月0.56億円複数のDD社以外のファンドの一部から融資
2025年04月遅延発生

DR社ファンド:段階的融資時系列

DR社のバイオマス発電ファンドでも、大きな初回融資の後に複数回の小口融資が実施されています。
最終的には、DR社以外のファンドからの資金流入後に遅延が発生しており、DD社ファンドとよく似た時系列構造を示しています。融資と遅延の時系列構造についてはDR社ファンドの個別記事で確認できます。

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ファンド募集月各月の融資額募集の種類
2022年08月8.00億円DR社ファンド
2022年12月1.21億円DR社ファンド
2022年02月0.40億円DR社ファンド
2023年03月0.39億円複数のDR社以外のファンドの一部から融資
2023年04月遅延発生

2つのファンドに共通する特徴

データを並べてみると、次の2つの共通点が明確に見えてきます。

  • 最後の融資のわずか1か月後に遅延が発生している
  • 遅延の直前の融資は他ファンドからの資金を充てている

段階的融資構造に潜むもの(推測を多分に含む考察)

ここから先は、読み取った共通点をもとにした推測です。事実として確認されたものではなく、投資家目線で「なぜこのようなパターンが生じるのか」を考えてみます。

資金繰りの悪化によるつなぎ融資の可能性

前提として、クラウドバンクのファンドでは事業計画や融資スケジュールの詳細が開示されていないため、もともとの計画に基づく融資である可能性も否定できません。

しかし、遅延直前に小口の融資をしている案件が複数存在する事実を見ると、資金繰りの悪化が背景にあったと推測するのは自然な解釈ではないでしょうか。

資金繰りの悪化を知っていてつなぎ融資を実施していたのではないかーーーーー。

というように、段階的融資本来のメリット(事業進捗に応じた柔軟な資金供給)が、場合によってはリスク先送りの手段として機能していた可能性を想像させます。

投資家に意図的に隠された追加融資の可能性

共通点として、最後の融資は対象ファンドとして新規募集されず、他のファンドから少しずつ融資されていました。小口とはいっても合計金額は両社とも数千万円にのぼり、本来であれば1ファンド組成してもおかしくない規模です。

なぜ、投資家に見えにくい形で最終段階の融資を実行したのか―――――。

  • 運営者や関係者の持っていた権利・債務処理のためだったのか
  • 自社の融資枠やリスクを投資家に押し付ける形になったのか

いずれも想像の域を出ませんが、データを並べると憶測が膨らむ構造であることは間違いありません。

段階的かつ複数ファンドに細分化された融資という構造上、投資家が最初の募集時点で全体像や事業の進行段階を把握することは極めて難しい状況にあります。
この点について、運営側がどの程度まで計画や実行状況を開示し、どのように投資家へ情報提供を行うのか――。そのあり方は、投資家保護の観点からも今後の重要な改善課題といえるでしょう。

※本記事は、公開情報および時系列データをもとに作成したものであり、特定の企業や個人の不正を断定するものではありません。

まとめ

本記事で取り上げた、DD社、DR社のファンドでは、段階的融資構造と、その最終段階で他ファンドから資金を回し、直後に遅延が発生するという共通パターンが確認されました。

そして、事実として確認されたわけではありませんが、その背景に思考を巡らせると、資金繰りの悪化や、意図的に隠された「何か」を疑わせる構造であることは否定できません。

多額の遅延が発生し、投資家は長期間資金を拘束され、償還されるのか不安な日々を過ごしています。こうした状況を踏まえ、クラウドバンクには当初の資金計画や融資プロセスを振り返り、必要な改善を行うことが求められます。さらに、透明性のある情報開示とプロセスの明確化を通じて、投資家が安心して判断できる環境を整えることが、信頼回復のためには不可欠でしょう。

加えて、段階的融資は一度に全体像を把握することが難しく、投資家にとってリスクの見えにくい仕組みでもあります。そのため、段階的融資の状況や資金の流れを分かりやすく開示することも、透明性向上の重要な一歩となるでしょう。

本記事は公開情報をもとに作成したものであり、特定の企業の不正を断定するものではありません。
ソーシャルレンディング業界全体が、より健全で透明な仕組みへと進化していくことを願っています。


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SAKSUC

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この記事を書いた人

投資歴はおよそ10年ですが、最初は利回りやトレンドを追う程度でした。
本格的に調べ、試行錯誤を重ねるようになったのはここ数年です。
初心を忘れず等身大の経験を共有することで、投資や社会問題に悩む人の参考になればと思っています。

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