ソーシャルレンディング大手「クラウドバンク」では、数億円〜数十億円規模の大型案件が相次いで償還遅延となっています。中でも、最終融資実行からわずか1か月で遅延に至ったファンドが存在し、公式に掲げる「厳格な審査体制」の実効性が疑われる状況です。
遅延ファンドの実態
| 遅延ファンド名 | 最終融資日 | 遅延通知日 (お知らせの初報) | 遅延までの日数 |
|---|---|---|---|
| DD社 太陽光発電ファンド | 2025-03-17 | 2025-04-01 | 15日 |
| CY社 バイオマス発電ファンド | 2023-12-19 | 2024-03-05 | 77日 |
| AH社 中小企業支援型ローンファンド等 | 2024-01-31 | 2024-03-05 | 34日 |
| DR社 バイオマス発電ファンド | 2023-03-15 | 2023-04-24 | 40日 |
特にDD社太陽光発電ファンドは、最終融資実行からわずか15日で遅延が発生。
形式上は「厳格な審査で承認された融資」のはずが、現実にはわずか2週間で問題化。このスピードに投資家としては背筋が寒くなるような事態です。
審査体制の考察
公式に掲げられた審査体制
クラウドバンクの説明によれば、次の通りです。
- 営業者では貸金業務取扱主任者資格・宅建資格を持つ役職員による審査会を開催
- 日本クラウド証券ではコンプライアンス担当者等による審査会を開催
- 審査会では、融資先事業の収益性や担保権実行可能性を検討し、出席者全員が回収可能と判断した場合のみ承認
- 担保は原則として融資総額を上回る評価を前提
(評価方法は原価法・収益還元法・取引事例比較法によるもの) - 融資後も営業者と証券会社で毎月モニタリングを実施、必要に応じ資料提出を求める
- 遅延発生時は、担保権実行や保証請求、サービサー売却や第三者による弁済の受け入れなどで回収を図る
書面上はとても整っています。資格者も揃い、審査プロセスも書かれています。しかし現実は短期遅延ファンドが次々と生まれています。短期遅延ファンドの連発は「形式的な厳格さ」と実務上のリスク管理のギャップを示しています。
表面の「厳格さ」と実務のギャップ
一見、当たり前に行われているはずの次の点は、ファンド募集資料からは確認できません。
事業計画の実現性評価
事業を担保として評価し、その実現性が十分であれば、事業を引き継ぐ選択肢も考えられます。しかし、公式資料にはこの点の評価に関する具体的な説明はありません。
利払い資金などの短期資金繰りの確認
未完成の再生可能エネルギー事業や、不動産売却が前提の案件など、ファンドの規模に対して直近では利益を生まないケースも多くあります。こうした状況で利払い資金をどう確保するかという評価も、明示されていません。確認されていないとすれば、利払い不能は当然のリスクとも言えます。
想定外の事態への対応策
事業には常に一定のリスクが伴います。売上の下振れ、工期遅延、自然災害など、異常事態への即時対応策がどの程度考慮されているかも気になるところです。
これらは当然確認されていると思いがちですが、もしかすると運営者も私たちに提示されるような表面的な数値や担保評価だけで、「回収可能」と判断しているにすぎないのかもしれません。
そう考えると、この異常な短期遅延連発にも納得がいくところです。
さらに言えば、これらのリスク全てを投資家に背負わせるのが、ソーシャルレンディングという投資の本質なのかもしれません。
書面上の安心は、現実の保証ではない
クラウドバンクの「厳格な審査体制」は、書類上は立派でも、現実として融資実行から短期間での遅延を連発するなど、現場レベルでのリスク管理や即応策がほとんど機能していない可能性が高いと考えるのが自然です。
では、投資家はどうすればよいのでしょうか。運営側が開示しない情報を知る手段は限られており、透明性を確かめるのは容易ではありません。
そのため、事業計画の実現性や現実のキャッシュフローを正確に把握できないまま、この投資を続けるかどうか、判断の岐路に立たされることになります。
あなたが貯めてきた大切な資産です。表面的な安心感に惑わされず、現実のリスクを見極める目を持つことが、これまで以上に重要になっています。
さらに言えば、ソーシャルレンディングは歴史が浅く、成熟した金融システムのように長年の実績やノウハウに裏打ちされた安全策はまだ十分ではありません。乱立する業者、不透明な審査体制、不十分な情報開示、これらのなかに私たちは立っています。
この不確実な世界で、私たちは何を信じ、何を見極めるのか——。
安らぎを求める心は
いつしか沈みゆく沼のなか
足元をたしかめながら
ふり返る先にサクラサク🌸
SAKSUC
